カンボジア通信


▲トゥクトゥクの制作現場。カンボジアの場合、トゥクトゥク制作は、まず金属の板や棒、木材を適切な大きさに切りそろえ、各部品を作ることから始まる。できた部品を釘や溶接などで組み立て、ヤスリがけ、塗装を施す。その工程はほぼ完全に手づくりだ。電動ノコギリがうねり、有機溶剤の匂いが充満する制作現場では、大人ばかりではなく子どもも働いていることがある。


遺跡以外のカンボジアを旅する本「トーマダー」の発行人がカンボジア人の生活、プノンペンの町のようす、写真で見るカンボジア、カンボジア人の仕事、カンボジアのニュース、日記などをつづっているブログです。
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2006年02月17日 ◆キリングフィールドへの旅
■キリングフィールドへの旅

カンボジア人の仕事について何人かのカンボジア人に話を聞き、それを「カンボジア人のお仕事図鑑(以下、「図鑑」とする)」というサイトにまとめているのだが、仕事人たちの人生の過去に耳を傾けると彼らの口から「ポルポト時代」という言葉がしばしば発せられる。
「そのときはポルポト時代で、タケオ州で農作業をしていたよ」
「中学校を卒業したときにポルポト時代が始まってねえ」
「故郷はプレイヴェーン州なんですが、ポルポト時代はポーサット州に移住させられたんです」
この時代、ポルポトと名乗る男を首相(首相に就任したと発表されたのは1976年4月)とする民主カンプチア政権がカンボジアを支配した。民主カンプチア政権の政治について語るのは困難であり、また研究者や著述家が多くの報告をまとめているためこの場では触れないが、同政権下で推定150万人もの人々が粛清、処刑、病死などの理由により命を落とした。
日本で報道されるカンボジアというと、このポルポト時代(またはクメールルージュ)、地雷、貧困、HIV/AIDSといった負の面を切り口としたものがほとんどで、それ以外のカンボジアの日常はほとんど伝わってこない。それに不満を抱き、このブログと「図鑑」のなかでもうひとつのカンボジアを伝えようとしてきた。でも、カンボジアの現在を知ろうとすると、ポルポト時代の闇が音を立てずに静かに忍び寄って来る。
いままでポルポト時代を過去のものとして捉えており、また、すでに述べた日本での状況への反発もあって、この時代の歴史に興味を示そうとしなかった。しかし、同時代を生き抜いた人々の心の中にはポルポト時代の記憶が深く刻み込まれ、現在まで消えることなく残っている。その記憶に目をつぶってしまっては「カンボジアの今」を深く理解することはできないと考えるようになった。
それではポルポト時代とは一体どんな時代だったのか、当時カンボジアの各地では何が起こったのか、人々はどのような環境であの時代を生きなければならなかったのか。自分の目で現場を見て土地の人の声を聞き、それをまとめることで自分なりにポルポト時代を整理してみようと思い、各地に残るキリングフィールドを訪ねる旅に出ることにした。これから「キリングフィールドへの旅」というカテゴリのなかで載せていく写真と文章は、ポルポト時代に悲劇の舞台となった地への旅の記録であると同時に同時代に亡くなった人たちへ贈る鎮魂歌でもある。
なお、キリングフィールドの位置を知るための資料としては、DC-CAM(Documentation Center of Cambodia)のMASTER GENOCIDE SITE DATAを中心に用いた。彼らの勇敢な仕事がなかったらこの旅を始めることはできなかっただろう。この場にて敬意を表する。

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