カンボジア通信


▲トゥクトゥクの制作現場。カンボジアの場合、トゥクトゥク制作は、まず金属の板や棒、木材を適切な大きさに切りそろえ、各部品を作ることから始まる。できた部品を釘や溶接などで組み立て、ヤスリがけ、塗装を施す。その工程はほぼ完全に手づくりだ。電動ノコギリがうねり、有機溶剤の匂いが充満する制作現場では、大人ばかりではなく子どもも働いていることがある。


遺跡以外のカンボジアを旅する本「トーマダー」の発行人がカンボジア人の生活、プノンペンの町のようす、写真で見るカンボジア、カンボジア人の仕事、カンボジアのニュース、日記などをつづっているブログです。
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2006年02月14日 ◆カンボジア風土記
■宝石採取の現場を訪ねる


>>「国境の町パイリンへの旅」からの続き

モトドップに乗ってパイリンの国境を訪ねた僕たちは、翌日、宝石採取の現場を見に行くことにした。カンボジアでは北東部のラタナキリ州、モンドルキリ州、ストゥントレン州などが宝石の産地として知られるが、首都プノムペンのプサートゥメイ(中央市場)にある宝石売り場で働く知人によると、パイリンで採取される宝石は質が良いとされ、他の地域のものと比べて高い値段で取引される。プサートゥメイの宝石売り場では、カンボジア各地で取れた宝石を見比べることができるし、売り子さんからカンボジアの宝石にまつわる話をいろいろと聞くこともできる。
さて、パイリンである。宝石の採掘場としてはプノムキエウ(キエウ山)、プノムヤート(ヤート山)などが有名だが、ほかにもたくさんあるとのことなので、まずはパイリン中心部から近くて行きやすいボータンスー村へ案内してもらう。
ボータンスー村はパイリン中心部から約5キロのところに位置し、周辺の村道沿いに建つ民家と民家の間には「地雷危険」の赤い立て札が立てられているところがある。パイリンはカンボジアのなかでも最も多くの地雷が眠る地域のひとつであることは知っていたが、立て札を見て踏み痕のない土地を歩くのは危険だということを再認識させられる。もっとも、モトに乗って道を走っている限り問題はない。
ボータンスー村では、村の横を流れるタンスー川で地元の人により宝石が採取されている。パイリンには複数の川が流れているが、カンボジアの低地を流れる川とは違い、水が澄んでいて川底には細かい砂利が転がっている。遠くを見ると緑豊かな山が視界に入るため、まるで夏に日本の田舎を訪れたかのような錯覚に陥る。
僕たちが訪れた時、タンスー川では40歳の女性ひとりと59歳の男性がひとり宝石の採取をしていた。ここでは大きめの笊(ざる)を用い、川底の細かい砂利を掬って振るい、なかに混ざっている宝石を採る。ここで採取できる宝石には、トボーンクロホーム(「赤い宝石」の意。ルビーか?)、トボーンキエウ(「青い宝石」の意。サファイアか?)などがあるが、ほとんどが小粒で、30粒ほど集めても約200バーツ(2万リエル=約5米ドル)程度でしか売れない。太陽が照りつけるなか、時間をかけて根気よく探さないと簡単には宝石は見つからない。すべて手作業のため、体力のいる大変な仕事だ。
59歳の男性はバッタンバン州出身で、1979年にパイリンにやって来た。
「故郷を離れて久しいよ」
男性が言う。本業は畑仕事で昼過ぎになるとタンスー川へ宝石を採りに来る。この日はタンスー川の川岸近くの砂利を広めに掘って小さな池のような場所をつくり、そこで作業をしていた。ココナツの殻を半分に割って作った容器を使って砂利を掬い、それを笊にあけて振るいにかけ、宝石を採取するのだ。作業場の脇の川の中には窪みのある大きな岩があり、その窪みには男性が採取した小さな宝石が置かれている。その数、30個弱。採取した宝石は、村にやってくる買い付け人に引き取ってもらうか、自分でパイリンの市場へ持って行って売る。
モトドップによると、カンボジア人はすべて人力で宝石を採取するが、タイ人(タイの企業)は機械を使って掘る。ボータンスー村からモトで10分ほどのところにある採掘場では、タイの企業が機械を使って地中深くにある宝石の採掘をしている。機械が設置されたすぐそばには、大きな穴が口を開けていた。採掘した跡だ。現場にいた男性によると。ここで採取された宝石はタイやインドへ売られる。訪れた日は休みで実際に掘っているところを見ることはできなかった。
「20Bくれれば周りを案内してあげるよ。写真を撮ってもいい」
現場の男性がいうが、動いていない機械と穴を見てもおもしろくないので断り、パイリンの町へ帰った。

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